活動

渡辺翁記念会館のベヒシュタインとスタインウェイ

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2024年6月30日(日)に開催される「音楽の祭日 in うべ(Fête de la Musique au Japon)」への出演が決定しました

会場は「宇部市 渡辺翁(わたなべおう)記念会館」の1階、正面入り口付近の予定です(天候によってはロビーでの演奏になるかも)

時間は未定ですが、おそらく14時〜15時くらいの出番になると思います(決まり次第、こちらのホームページでもお知らせします)

30分間くらいの楽しいプログラムを予定してます

チケットなどはなくて、どなたでも無料でお聴きいただけます(←それが「音楽の祭日」のコンセプト)

他にも和太鼓やコーラスグループの演奏、そしてすぐそばでキッチンカーでのフード販売などもあって、ちょっとしたお祭りのような雰囲気になりそうです

「渡辺翁の『翁(おう)』って、なに?」

と思われる方も多いと思います

「翁(おう)」はご年配の、特に男性への敬称

宇部の発展に多大な貢献をした渡辺 祐策(わたなべ すけさく、1864年〜1934年)さんのことを、

「偉大なる渡辺のおじいちゃん」というような意味を込めて「渡辺翁」と言い表します

渡邊 祐策さん

俳句の世界で松尾芭蕉のことを「芭蕉翁」と呼んだり、今年2024年の7月から発行される新一万円札に描かれる渋沢栄一のことも「渋沢栄一翁」と呼んだりします

今練習してるスティーヴィー・ワンダーの「Sir Duke(サー・デューク)」の『Sir(サー)』も、英語での敬称だったりするのでちょっと『翁』に似てます

宇部は石炭で栄えた町

20世紀前半のエネルギー資源の中心は「石炭」→20世紀中盤からは「石油」→そして21世紀の今、石油の時代が終わりかけてます

もうちょっとするとガソリンで走る車やガソリンスタンドも一気になくなりそうですが、まだあまり実感はないかも

宇部近郊の海で石炭(黒いダイヤモンドとも言われてた)がたくさん採れたので、100年前の宇部の町はかなり栄えてました

渡辺 祐策さんが作った炭鉱や鉄工所などが、後の宇部興産(2022年からの社名は「UBE株式会社」)になります

プール(池)があったらしい

「渡辺翁記念会館」は1937年にできましたが、西日本でもっとも歴史ある音楽ホールの一つです

国指定の重要文化財でありながら、現役で使えるコンサートホールでもあります

後ろのマンションが景観のジャマ(住んでる人ゴメンナサイ)

第一次世界大戦と第二次世界大戦の間の時期(1919年〜1939年)は、日本が文化的な面である意味ピークを迎えていた時期だと思います

↑たぶんこのあたりで演奏?

建物や道路や会社名に人名が使われるのは、日本でもないことはありませんが海外に比べると稀です

フツーなら「宇部市民会館」とかいうネーミングになりそうなもんですが人名が付けられてるところに、ただの実業家や政治家ではなかった渡辺 祐策さんの宇部市民からの「愛され度」がうかがえます

というわけで「偉大なる渡辺おじいちゃん記念会館」の下見とご挨拶に行ってきました

宇部市の中心部、そしてJR宇部新川駅からすぐの場所にもかかわらず、となりには広大な「渡辺翁記念公園」と広い無料駐車場もあります

そして何より建築としてのデザインの秀逸さ(村野 藤吾(むらの とうご)による設計)

全体も素晴らしいですが、裏側などの見えにくい箇所やちょっとした照明器具まで、すべて素敵なデザインで作られてます

防府ウィンドシンフォニーが演奏させていただく正面入り口付近は、2007年の映画「ALWAYS 続・三丁目の夕日」で、六子(堀北真希)が銀座の映画館に行くシーンのロケ地としても使われました

昭和モダンとも言えるこんな重厚かつ洒落た建物は、日本中探してもほとんど残ってないようです

↓は撮影時の様子

「音楽の祭日 in うべ」昨年までは2階のロビーを演奏会場にしてたそうで、ロビーも見せていただきました

↑は1階のロビー(TVモニターは置かない方がいい…)

床もぶっとい柱も、ぜんぶ大理石!(豪華すぎ〜 どんだけ〜(再))

なもんで、ロビーなのに音がめっちゃ響きます

レトロで和洋折衷な感じなのに、なぜか未来的にも見えるデザイン

↓ぜんぶ木でできてるスゴい長椅子(各部に彫刻されたデザインがいっぱい入ってる)

「2階のロビーにベヒシュタインのピアノがありますよ」

と言われてビックリ 見せていただけました

ただならぬ雰囲気

カバーを外すと〜

↑100年前のベヒシュタイン製グランドピアノ
やや角張ったデザイン 譜面台がなんだかデカい

後で知りましたが宇部市ゆかりの100年前(!)のベヒシュタインとスタインウェイのピアノが、修復されて2階ロビーにあります(おったまげー

↑2階のロビー

このベヒシュタインは宇部興産創立者で音楽好きでもあった俵田 明(たわらだ あきら、1884年〜1958年)さんの邸宅にあったものを後に宇部市に寄贈→宇部市立図書館の2階に保管されてたそう

「C.BECHSTEIN BERLIN」という文字が

スタインウェイの方は1923年(渡辺翁記念会館ができる前)に、宇部市立新川尋常小学校(1940年まではANAクラウンプラザホテル宇部のあたりにあったそう。今の新川小学校)に地元の有志20名によって寄贈されたピアノなんだそう

手前にあるのが100年前のスタインウェイ

ベヒシュタイン社とスタインウェイ社は、偶然ですがどちらも1853年創業のピアノメーカー

ベヒシュタイン社は現在も存在しますが、20世紀前半まではたぶん今のイメージよりももっと上、最高峰のピアノだったのでは?と思われます(フランツ・リストやドビュッシーも絶賛してたそう。チック・コリアやフレディ・マーキュリーのお気に入りピアノでもあった)

白いベヒシュタインを弾くフレディ・マーキュリー

ベルリン(ドイツ)のメーカーだったこともあって第二次世界大戦で工場が破壊されて、図面、資料、職人のほとんどを失ってしまいました

もっと有名なスタインウェイ・アンド・サンズはドイツのメーカーと思われることが多いようですが、最初はアメリカのニューヨークで設立されたピアノメーカーです

現在はニューヨークとドイツのハンブルクに工場があって、それぞれ「ニューヨーク・スタインウェイ」と「ハンブルク・スタインウェイ」と区別されることもあります(見た目も音も、けっこう違います)

20世紀初頭はニューヨークから部品を船で送って、ハンブルクで組み立てていた時期があったようです

渡辺翁記念会館に置かれてるスタインウェイがまさにそれで、シリアルナンバー(製造番号)「O – 212387」から1922年にハンブルク工場で作られたという記録が、今でもスタインウェイ社に残ってるそう

金属フレームには「STEINWAY&SONS NEW YORK」という文字が確認できますが、実はドイツのハンブルクで作られた(組み立てられた)ピアノなのです

(黒が艶消しっぽく見えるし、そんな事情は知らなくて「ニューヨーク・スタインウェイだ」と思ってしまった)

そしてハンブルク→神戸港を経由して宇部に運ばれてきたのが100年前

1945年のアメリカ軍による宇部大空襲で、新川小学校の木造校舎が燃えかけたのを、バケツリレーで必死に消火してなんとかピアノは無事だったそう(渡辺翁記念会館も、偶然空襲を免れた)

その後使われず誰からも忘れられかけたスタインウェイは小学校でカバーもかけられずホコリをかぶってたのを、平成になって「なんか壊れてるけど貴重そうなピアノがある」と発見されたのだとか

場所取るし処分も検討されたそうですが、2020年頃に修復されて現在渡辺翁記念会館の2階ロビーに置かれてる、という伝説的で貴重なピアノなのでした

戦前のスタインウェイや特にベヒシュタインは、日本に現存してて弾ける状態にあるものはかなり少ないと思われます

処分なんて…ヒドいと思ってしまいそうですが、ピアノって保全するのに手間と莫大な費用がかかります(調律はもちろん、湿度の影響もかなり受けやすい)

金属フレーム部に「O(オー)」のアルファベットが見えるスタインウェイですが、全長180cmで現在の「O-180」というピアノの前身モデルだと思われます(現在のO-180の価格は1500万円くらい)

「象牙(ぞうげ)製」だった鍵盤が修復時に樹脂製に変えられたのは仕方ありません(1989年のワシントン条約で象牙の輸入が禁止されて以降、象牙の鍵盤は作られてません)

今では海外の一流演奏家が日本に来るのはちっとも珍しくありませんが、空襲を偶然逃れた上まともなピアノがある演奏会場は1950年代頃は全国的にもかなり少なかったようです

1954年にドイツピアノ界の巨匠、ヴィルヘルム・ケンプも来た

ロビーに飾られている写真の一流演奏家の他にも、ヴァイオリニストのユーディ・メニューイン、ピアニストのアルフレッド・コルトーなどの超ビッグネームが毎年のように来てたことに驚きます

川棚温泉にあるアルフレッド・コルトーの銅像

当時は宇部市に外国人が泊まれるホテルというものがなかったそうで、アルフレッド・コルトーはちょっと遠いけど川棚(かわたな)温泉に宿泊してたそう

その縁で、昔「川棚観光ホテル」という洋風で豪華なホテルがあった場所に、川棚の杜「コルトー・ホール」が2010年にできました

のどかな川棚に突然モダンで前衛的なデザインの建物「コルトー・ホール」が現れる(隈 研吾(くま けんご)による設計)

コルトーは海と山、美しい自然あふれる川棚を本気で気に入ってたようです(日本に来たのは1952年の一度きり)

1956年にはサンソン・フランソワも来た

↑の写真は渡辺翁記念会館のステージで弾くピアニストのサンソン・フランソワで、そのイケメンっぷりにも驚きます(酒とタバコをやめず46才の若さで亡くなった)

写ってるピアノはたぶん今2階のロビーにあるベヒシュタインに見える
突き上げ棒を入れる穴の位置を誰かが間違えてる…けっこう見かけるミスだけど)

1956年に来たロサンジェルス・フィルハーモニック

防府ウィンドシンフォニーの宇部デビューは、そんな歴史と伝統ある会場で演奏できるのが楽しみです(ホールのステージじゃないけどね)

ホール内、2階席後方の映写室。デザインが素敵すぎ

下見の流れで先に本番がある「道の駅 きららあじす」の事務室にもご挨拶に行きました

↓チラシを作って貼り出していただいてる!(知らなかった。感謝です)

防府ウィンド「シンフォニー」を入れてほしかった…

「晴れるといいですね」

と言われ、ホントにそうだと改めて思う(雨降らないでくれーい)

採れたて野菜は美味しいよ

軽食コーナーのメニューなんぞ↓

人気パンのランキング&焼きあがり時間なんぞ↓

あまりに天気が良くて気持ち良かったので、すぐそばにある「山口きらら博記念公園」を散策

「森のステージ」っていう、いい感じの場所がある

ここで演奏できたらサイコーやん

夏の夕方に演奏したとしたらこんな感じ↑のようです

ちょっと歩いたら海が見えてきた!

駐車場は最大で8000台もあります すごいねー

今回で10回目になる「WILD BUNCH FEST.(ワイルドバンチフェス)」今年は8月

夏休み期間だし、すごい人出になりそう(どこもホテルが取れなくて、取れてもベラボーに高い値段設定らしい…)

楽団の活動とは関係ありませんが、宇部市にある素敵なお店「ピアノ・イン・ステラ」にて、ピアノとオーボエとトランペットの3人でライブをやります

2024年6月1日(土) 19:00スタート
会場:Piano Inn Stella(ピアノ・イン・ステラ)
山口県宇部市常磐町2-2-17 TEL:0836-35-3088
1ドリンク付きで2900円

http://pistella.net

↑お店のホームページ

「2本のオーボエのための協奏曲 C-dur Op.7-2」T.アルビノーニ
「青春の輝き」カーペンターズ
「オペラ座の怪人」A.ロイド=ウェバー
「宝島」 和泉 宏隆
「サウンド・オブ・ミュージック」R.ロジャース
他いろいろ

盛り沢山な内容となっております

たぶん↑このあたりで演奏予定

防府ウィンドシンフォニー「道の駅 きららあじす」でのミニコンサートは、

5月26日(日)11:00開演予定(天候などによっては時間変更の可能性もあります)

「なんでやねん!」ツッコミの練習に余念がない司会3人娘(トリオ漫才師)

ぜひお越しください(パオ〜ん

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