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ラの音は世界の中心

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どんな音楽でもチューニング(音合わせ)は、「ラ」の音(実音のA(アー))でやることがほとんどです

どの楽器でも音程が合わせやすいことの他にも、人間が聴くことのできる音の高さの真ん中あたりがこの「ラ(A)の音」と言われています

ピアノの鍵盤の、だいたい真ん中あたりの「ラ」の音です

ピアノの調律は、この「ラ」の音を基準にして、高い方、低い方へと合わせていきます

最近はあまり見かけませんが「音叉(おんさ)」はラの音が出る器具です

音叉は音楽で使う他にも、医療用、理科の実験用(共鳴やうなりの実験)、ヒーリングなどにも使われます

学校の音楽室ではなくて「理科室」で、音叉を見かけたことがある人もいると思います

ちなみにヤマハのロゴマークは3つの音叉が組み合わされたモチーフでデザインされています

「プッ、プッ、プッ、プ〜〜ン」という「時報」の音は、「ラ」の音(440Hz)が3回の後に、1オクターブ高い「ラ」の音(880Hz)です

赤ちゃんが生まれてくる時の産声(うぶごえ)はなんと「ラ」の音程で、生後4ヶ月くらいまでは何かをしゃべる声はほとんど「ラ」の音なんだそうです(しかも世界共通、人類共通で)

オーケストラのチューニングは初めにオーボエ奏者が「ラ」の音を吹いて、その後に他のみんなが合わせていきます

オーボエの音は倍音(音の成分のようなもの)が特徴的で独特で、他の楽器の音に一番「似てない」ので逆に音程を合わせやすいのです

吹奏楽団でもプロフェッショナルの楽団や音楽大学の吹奏楽団、アマチュアでもレベルの高い演奏をする楽団は「ラの音=実音A(アー)」でチューニングすることが多いです

が、中学校などの吹奏楽部ではチューニングを「シのフラット=実音のB(ベー)、英語で言えばB♭(ビーフラット)」ですることが多いです

「シのフラット=実音B(ベー)」でやってはダメ、とは言いませんが、「ラ=実音A(アー)」の方が少し優位性があるので、アマチュア楽団、高校、中学、小学校の吹奏楽部であろうと「ラ=実音A(アー)」の音でチューニングするのをおすすめしてます

ところが吹奏楽人は「なんでA(アー)でチューニングするんですか?」とか、A(アー)の音でのチューニングを嫌がる人が多いです

B(ベー)の音でチューニングしたい理由を聞くと「ずっとB(ベー)でやってきたから…」とか「オーケストラはA(アー)で、吹奏楽はB(ベー)でしょ!」とか、あまり根拠のないことを言ってくることが多いです

実音の「ド=C(ツェー)」は、どの管楽器でも音程が良くない音なので、C(ツェー)でチューニングしたいと言う人はさすがにいません(ドレミファソの「ド」なのにね)

実音のB(ベー)とA(アー)は、どの管楽器でも比較的音程が良い(安定してる、合わせやすい)音です

で、なぜ「A(アー)」の方が優位性があるかと言うと、まず単純にB(ベー)よりも低いことがあります

「いや、半音しか変わらんやん」と思われるかもしれませんが、たった半音でも、特に金管楽器は高い音が演奏しにくいので、半音でも低い方が良い訳です

ホルンなんて「高いファ」より、「高いミ」の方が、特に楽器を始めて数年の人にとってはけっこう楽に感じます

「開放の運指(何も指を押さえない)でチューニングする方がいいに決まってるじゃないですか!?」とケンカ腰で言ってくる人もいたりします

ヴァイオリンやチェロやギターなどの弦楽器は、当然ながら「開放弦=何も指を押さえない」の状態でチューニングしないと意味がありません

管楽器はどうでしょう?

管楽器は開放(何も指を押さえない)状態が一番音程が良い、とは必ずしも言えません

そしてB(ベー)よりもA(アー)の方が音程が良くない、合わせにくい、などという不都合がある管楽器はありません(逆は少しあります

「トロンボーンはヴァルヴがなくてスライドを一番手前の1ポジションで合わせるから」と言う人もいますが、2ポジションがちゃんと取れない人は、よっぽどの初心者でもない限りいないと思います

むしろチューニングして「少し低いな」と思った時に、スライドをわずかに手前に引いてどれくらい低いかをすぐに確かめられるのは2ポジションの「A(実音アー)」の方です

1ポジションのB(ベー)だとそれ以上スライドを引くことができないので、いったん楽器をおろしてチューニングスライドを入れるという作業をしないといけません(当然、時間がかかります)

ピストンやロータリーなどの「ヴァルヴ」がある金管楽器は、演奏中「指を押してない」状態よりも「指を押してる」状態で吹いてることの方が多いです

吹奏楽ではあまり使いませんがA管のクラリネットやC管のトランペット、C管のテューバなども、B(ベー)よりもA(アー)の方がチューニングするのに都合が良いです

ここまで言ってもまだ「実音のシのフラット」でチューニングしたいチューニングベー星人さんは、どうぞこれからもベーでチューニングしてください

でも「チューニング、何の音でやる?」とかいう会話は、時間の無駄でしかないと思います

個人的にはB(ベー)のぜんぜん合ってない音で吹奏楽のチューニングが始まると、

「あー、今からヒドい演奏が始まるのか…」

と失礼ながらいつも思ってしまいます(がんばれ〜、という応援の気持ちも持ってますよ

プロのオーケストラや吹奏楽団でもチューニングがイマイチ合ってないまま演奏が始まることがありますが、まだA(アー)のチューニングの方が絶望感をあまり持たずに演奏を聴き始めることができます

↑これは個人の経験上の勝手な感想なので、A(アー)の優位性とは関係ありませんが

プロもアマチュアも、オーケストラも吹奏楽もジャズバンドも、大人も子供も、日本も外国も、今日も明日も来年も50年後も、みんなチューニングは「ラの音=実音A(アー)」でやればいいのに

と、いつも思ってますが、頭のカタい人はわかってくれないんだろーなー(遠い目

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