活動

らっぱ吹きの休日

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年末ですが、来年2025年の活動に向けて新曲ラッシュ

1ヶ月に3〜4回しか練習はないので、何事も早めの準備が大切

ルロイ・アンダーソンの大人気曲「らっぱ吹きの休日」の楽譜を配布しました

オリジナルのタイトル(原題)は「Bugler’s Holiday(ビューグラーズ・ホリデー)」

誰が聴いても「どこがホリデー(休日)やねん!」

という、洒落(シャレ)の効いたタイトル

それより原題にある「Bugle(ビューグル)」って言葉の方が気になる人も多いと思います

ビューグル、って何?

ビューグルは、昔の軍隊らっぱのような楽器のこと

もっと広い意味では、金管楽器の総称のような感じです

↑コレはフリューゲルホルン

フリューゲルホルンのことを「フリューゲル」って言う人多いので「ビューグル」と「フリューゲル」がごっちゃになってる人もいると思いますが、違う楽器です

フリューゲル(Flügel)はドイツ語で「翼」と言う意味

「翼」と言われたら金管楽器、どれでもベルは翼に見えるし?

フリューゲルホルンの名前の由来は「形が翼に似てる」とか「狩りの時にウィング(翼)という位置の仲間にこの楽器で合図を送った」だそうですが(諸説アリ)、どの説も「?」

釈然としないんですけど…(モヤモヤ)

フリューゲルホルンの名前の由来はさておき

「らっぱ」と言うと「らっぱのマークの正露丸(セイロガン)」が日本ではお馴染み

でしたが、正露丸(お腹が痛い時に飲む薬)のTV-CMも見かけなくなったし、正露丸自体もあまり見なくなりました

自衛隊では今でも「らっぱ」が使われてると思います

スピーカーや電気がなかった時代には「起床らっぱ」「消灯らっぱ」「出航らっぱ」など、本当に「らっぱ」という楽器を合図として使っていました

「大きな音」が出るものは「らっぱ」か「鐘」か「太鼓」くらいしかなくて、一番小さくて軽くて持ち運びやすいのが「らっぱ」だった訳です(しかも単純なメロディなら演奏できる)

普通のトランペットと比べると、ピストンと3つの抜き差し管がないのでだいぶ軽くなります(ヒモで首からぶら下げられる)

軽いので、片手で楽々持てる

大声を出すのよりらっぱの音の方が楽に遠くまで聞こえるのは、想像できますよね

ピストンやロータリーといった「ヴァルヴ」が何もついてない、ただ長い管をぐるぐる巻いただけのシンプルな楽器

出る音は「ド」「ミ」「ソ」(というかだいたいG管なので実音のソとシとレ)くらいですが、合図に使うのはそれで十分だったのです

軍隊で使われてた楽器を起源として、20世紀後半にアメリカで発展した「ドラム・アンド・ビューグル・コー(Drum and Bugle Corps)」という演奏形態があります

「ドラム・コー」と略して言うこともあります

学校での教育目的もあって推進されてきたもので、アメリカで独自に発展してきました

机に向かうお勉強と違って、音を出して体を動かす

日本でいうと鼓笛隊や、まぁ吹奏楽部に近い面もあります(吹奏楽も「軍楽隊が起源」と言っても良い編成だし)

感じとしてはマーチングバンドの方が近いか

金管楽器と打楽器でフォーメーションを組んで動きながら演奏する、マーチングに似たスタイル(マーチングと違って木管楽器は入らない)

世界大会も行われていて上位団体のパフォーマンスは誰が見ても聴いても「スゴい!」

最強のドラムアンドビューグルコー「ブルー・デビルス」1988年の圧巻のパフォーマンス

一般的な金管楽器や打楽器ではなくて、ドラム・アンド・ビューグル・コー専用と言っても良いような楽器が使われてきました

↑ソプラノビューグル(G管)と普通のトランペットの比較

そこで使われる金管楽器は正真正銘(確実に)「ビューグル」と言われます

ソプラノビューグル、メロフォンビューグル、バスバリトンビューグル、ユーフォニアムビューグル、コントラバスビューグルという、大小様々な「ビューグル」を使います

ダイナスティ社製のメロフォンビューグル

どのビューグルも「G管(ゲーかん)」というところが特徴

↑このらっぱも「G管(ピストンなし)」

ピストンなしのビューグルだと使える音が限られるので、単純なメロディを演奏するためにピストンを1つだけ付けたビューグルが出現

それだけで出せる音の数が2倍になる訳です(ピストンを押すか押さないか)

ピストンが1つ(one valve)のソプラノビューグル

ピストンが1つしかないと、なんか見た目が怖いと言うか、違和感が…

なんとなく1つ目の妖怪(一つ目小僧)をイメージしてしまう

ピストンが2つとか3つ付いたビューグルも現れてきました(3つ付いたら全部の音=半音階を演奏できる)

ピストンが2本のビューグル
どうしても「見慣れない、変な金管楽器」に見える

当然、だんだん楽器が重くなって動くのは不利になるけど、使える音が増えるので音楽の表現面では有利

DCI(ドラム・コー・インターナショナル)という大会では、G管のビューグル以外の楽器の使用が禁止されてきました

が、1989年以降はG管じゃない楽器も認められて、今ではいわゆるフツーの金管楽器も使われてます

そんな訳で「G管でピストン付きのビューグル」という、用途が限られる金管楽器は主にアメリカでしか作られてきませんでした

「これこそが本物のビューグルだ!」なんて言う人もいるかもしれません

なので、日本ではほとんど見かけることはないと思います

ちなみにヤマハからはB管やF管の「マーチングブラス」と言われる金管楽器が発売されてます

マーチングユーフォニアム

そちらは普段ホルンやユーフォニアムやテューバを吹いてる人が、ビューグルに比べるとより違和感少なめで演奏できる楽器

↑ヤマハのマーチングメロフォン(F管)
普段ホルンを吹いてる人が吹きやすいように、F管が採用されている

おっきく金管楽器全体のことを「ビューグル」とも言うので、まぁビューグルは「らっぱ」と日本語訳するのが一番近くてわかりやすいかな?と思います

「Bugler’s Holiday(ビューグラーズ・ホリデー)」を「らっぱ吹きの休日」と訳すのは妥当

ですが、最近はこの曲を「トランペット吹きの休日」と表記することも増えてきました

防府ウィンドシンフォニーで配布した楽譜にも「トランペット吹きの休日」と書かれてます

もしかするとトランペットのことを「らっぱ」と言うのはちょっとよろしくない、という風潮でもあるのかな?

トランペットをやってる人が自分の楽器のことを「らっぱ」と言うのは、特に専門的にトランペットをやってる人ほど多いように感じます

上手い人ほど逆にへりくだって「自分の楽器、ラッパなんで(たいしたことないっスよ、うるさくてすいやせん)」みたいな雰囲気?

プロ奏者や音大生はだいたい自分の楽器のことを「らっぱ」と言いますが、たまに一般の人に「らっぱ」と言われると確かに「ん?」と思う気もする??

らっぱ吹き同士が「らっぱ」って言ってるのを聞いてマネしたり、「らっぱ、って言うのがフツーなんだ」と思って、何なら気を遣って「らっぱ」って言ってる人もいるような気がします

フルートのことを「笛(ふえ)」って言ったり、パーカッションのことを「太鼓(たいこ)」って言う人がいるのも、ちょっと似た感じ

謎の笛だ(オーボエ?)

「トランペット」って言葉がちょっと長いからか、関東では「ペッ」(←「ペ」よりも「ト」の方にアクセント。愛玩動物(ペット)と区別するため?)

って言ってる中高生が多いように思いました(他の地域はよく知らない)

ルロイ・アンダーソンには「トランペット吹きの子守唄」という別の曲もあって、こちらの原題は「A Trumpeter’s Lullaby(トランペッターズ・ララバイ)」

「Bugler’s 〜(ビューグラーズ 〜)」じゃなくて「Trumpeter’s 〜(トランペッターズ 〜)」となってます

ソロトランペット(1人)とオーケストラ(または吹奏楽、またはピアノ)でやる曲

トランペット吹きの子守唄」

アンダーソンは「トランペット」と「ビューグル」って言葉を使い分けてるし、やっぱり「トランペット吹きの休日」じゃなくて「らっぱ吹きの休日」の方がいいと思う〜

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