今出してる音の音程を確かめることができる便利なチューナー
誰もが使ったことあると思いますが、上手く使いこなせてない人も多いです
音程を合わせるのって、本当に難しい
トッププロ奏者ほど常に音程に神経を尖らせてますが、それでも時々合わないのを見かけることがあります
中高生やアマチュアの吹奏楽団は1つの曲に何ヶ月もかけて練習を重ねることありますが、プロの演奏にどうしても敵わないのは音程の面が大きいと感じることも多いです
管楽器は基準音を合わせても、他は音によって高かったり低かったり、音によってはすごく高くなったりすごく低くなったり
さらに演奏する場所の温度でも音程はすぐに変わってくるし、息を入れて楽器が温まってくると上がるし、数十秒でも吹いてないと楽器が冷めてすぐに下がってくるし…
「音程が、とか言われても、合ってるかどうかよくわからない…」
くらいならまだいいですが、そもそも合わせようとも思ってない人も
音が合ってるかどうか、高いか低いか、それを数値で(液晶の針で)判別できるのがチューナー
すごく便利ですがチューナーだけに頼っても、良い音程で演奏することはできません
「どの音でも、チューナーの針が真ん中にくるように合わせればいいんでしょ」
と思ってる人いるでしょうが、まずたくさんの音をそれぞれチューナーの針の真ん中に合わせることすら、ほとんど不可能です
よく特定の音をチューナー見ながら吹いて、針をメーターの真ん中に自分から合わせに行こうとしてる人いますが、本末転倒です
自然な感じでフレーズを吹いて、その中でどの音がどれくらい高いか低いか
を、常日頃からチューナーでチェックして把握しておくことが重要です
どの管楽器でも常用音域は2オクターブから、広くても3オクターブくらい
2オクターブなら24の音の、それぞれがどれくらい高くなるか低くなるかを把握しておくのです
楽器によって違うし、個人差もあります
マウスピースを変えただけでも音程の高低のバランス、けっこー変わります
日頃からそのようにしておけば、いざ合わないときに「自分はこの音はだいたい高くなる(低くなる)」とかの目安になって他人と合わせやすくなります
そして修正する方法、アンブシュアや息で調整したり、使える時は管を一時的に抜き差ししたり、変え指で調整したり
レッスンに来てるトランペットの中学生で、指を押さえる時は「どの音でも常に」第1スライドと第3スライドを抜く生徒がいます
どうやら学校の部活でそうするように教わってるらしいのですが、音によっては低くなりすぎてます
あとユーフォ・テューバで「1+2」の運指をほとんど使わずに、常に「3」の運指で実音DやGを吹いてる学生も、防府市に限ってよく見かけます
ずーっと先輩とかイマイチな講師がそのように教えてきたのか、それとも勘違いが横行してるのか?
音によって、また楽器によって特定の音がどれくらい高くなるかは違うので(高くならない時もあるよ)、なんでも「こうする」と決めつけないでチューナーも上手く使って運指や抜き差し管の抜き具合を考えてほしいです
たまに「こうした方がいいよ」とアドバイスすると、人格否定でもされたかのように「何この人」みたいな目で見られることあります(学校吹奏楽部が新興宗教化してる。こわ〜)
まぁ教える人によって言うことが違うから混乱するんでしょうけど(柔らかアタマを持ちましょう)
間違ったことを教える先輩や講師や先生、たくさんいます
音程が合ってない時に、今どっちの音が「高いか低いか」というのは、かなり耳が良い人でもわかりづらいです
が「合ってるか、合ってないか」は、注意深く聴けば誰にでもわかります(合ってないとワンワンうなって気持ち悪い)
一番良くないのは、合ってても合ってなくてもなんとも思わない人(けっこー見かけます←無関心は最大の罪)
音程が合ってないのは聴き手にとってとても耳障りですが、演奏する方で
「音程?そんなもん合わない合わない。無理無理」
と、ハナから合わせようともしてない人、います(←重罪)
チューナーという機械は、その特性を理解した上で使わないといけません
そしてチューナーを「絶対視(絶対的なものと思い込む)」してはいけません
例えばその楽器の高い方の音域で、チューナーの針がかなり高めに振れることあると思います
トランペットで言えば、高い「ファ(実音のEs)」よりも上の音はほとんどチューナーの針が高めに振れます
「ふんふん、ということは自分が高いんだな」
と思って管を抜いたりしてチューナーに合わせに行くと、めちゃめちゃ管を抜いてもまだ高い
「えー、でも機械(チューナー)の方が正確なはずだし…」
こんな経験、あると思います
↑は「調律曲線」と言って、ピアノを調律した時の実際の音程をグラフにしたものです
セント(cent)という単位は、100セントで半音です
低い音ほど低めに、高い音ほど高めに、わざわざ調律されてるのがわかると思います
もしすべての音を機械(チューナー)ピッタリに合わせたとしたら、そのピアノは美しく響かなくなります
ピアノは88鍵、7オクターブちょっとの音があるし管楽器とは違うので、どの楽器でもこのグラフ通りになる訳ではありません
が、管楽器でもその楽器の高い方の音は高めに、低い方の音は低めに(チューナーの針を)合わせることで、自然な響きに聴こえることがあるのをわかっていただけると思います
「じゃ、どの音をどれくらい高く(低く)合わせればいいの?」
と思う人いると思いますが、それはその時々で自分の耳で自然に聴こえるように合わせていく=自分の耳を鍛えていくべきです
「チューナーに合わせりゃいい」ってもんじゃないのです!
機械の針がメーターの真ん中に来るようにただ弦を調整するだけなら、ピアノの調律なんて誰にでもできますよね(ちなみに調律師さんは、チューナーという機械をほとんど使いません)
ピアノの種類や大きさ、メーカーや状態によって、もっと言うと演奏会場や温度湿度、実際に弾く演奏者やその日の演奏曲のことまで踏まえて自分の耳で聴いて調律するのが優秀な調律師
管楽器奏者の場合は、適度に温まったらその楽器の真ん中あたりの音でピッチ(絶対音程)を合わせる(この時はチューナーがとても役立つ)
時間の経過や温度によってピッチは刻々と変わってくるので、しょっちゅう気にして管を微調整する(吹奏楽の人は最初にチューニングしたら、あとはずーっとそのままの人、多いです)
一流のプロオーケストラの演奏が日曜日の夜のNHK地上波やYouTubeなどでいくらでも観られるので、管楽器奏者が演奏中しょっちゅう管を気にして動かしてるのを見てみましょう
いろんな音のそれぞれのイントネーション(相対音程)は、自分のどの音がどれくらい高く(低く)なるかを日頃から把握しておいて、その時一緒に演奏してる人とお互い聴き合い、寄り添いながら合わせていく
チューナー(機械)の針は「だいたい真ん中あたりに来てれば良し」とする
チューナーのド真ん中ピッタリに針を合わせようとすることよりも、良い音色を心掛けた方が、結果的に合って自然に聴こえます
初めてピアノと2人でトランペットを演奏した時、自分の音程があまりにヒドくてショックを受けました
同じ楽器同士や金管楽器はだいたい音程の傾向が似てる(実音のFとか、だいたいみんな高い)ので、なんとなく合ってるような気がしてたけど、実際にはぜんぜん正確な音程じゃなかったのです
絶対音感のあるクラリネット奏者さんに「金管ってみんなFの音、高いよね」って言われたことあります
優等生ほど
「自分はチューナーにピッタリ合ってるから、自分が正しい」
とか
「みんなリズムがズレたけど、自分は指揮者に合わせてたから自分が正しい」
と思いがち
音楽性は人間性
音楽も相手(共演者や聴衆)への思いやり、気遣いがマヂで大事
融通の効かない役人気質の人に「決まりですから」とか言われてるような演奏、イヤですよね
極端な話、ソロやメロディを取ってる人がわずかに高くなってたら、周りの人もわずかに高くして合わせていく
というようなことを優れたプロ奏者はやってるのです
音楽は生身のもの
ただ正確にやればいいというものではありません
音程もリズムも正確な「電話の保留音のメロディ」が、なぜか気持ち悪く(怖く、冷たく)聴こえるのは、あなたが生身の人間だから
人間味のある演奏を少しだけ手助けしてくれるのが、チューナーやメトロノームなのです