活動

オーメンズ・オブ・ラブ

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アンサンブル・コンサートを終えて、ひさしぶりに練習お休み週がありました

月に5回日曜日がある月は、どこかで1回お休みの日を設けることにしてます

ゆっくり夏休みを取れた人もいれば、楽団外での音楽活動などで忙しいメンバーもいます

楽器は演奏していないとどんどん下手になってしまうという情け容赦ない現実があるので、楽団以外でも演奏活動していただくのは大歓迎です

全体合奏は道の駅きららあじすでのミニコンサート以来、1ヶ月以上空いてたのでかなり久しぶり

以前からずっと練習してる曲に加えて、秋の小本番に向けて新曲3曲の楽譜を配布

そのうち今回は吹奏楽ポップスのド定番曲「オーメンズ・オブ・ラブ」を最初に合奏しました

フュージョン全盛期、1985年のT-SQUARE(THE SQUARE)のアルバム「R・E・S・O・R・T」の1曲目に入っていた曲で、アルトサックス奏者の伊東たけしさんが吹くリリコン(ウィンドシンセサイザー)のサウンドが今聴いても魅力的です

「リリコン(Lyricon)」は1970年代にアメリカのコンピュトーン社が発売した、見た目はクラリネットかソプラノサックスに近いような息を入れて吹く電子管楽器です

リリコン(Lyricon)

運指以外に唇や息の圧力のセンサーも付いていて、それらを含めてアナログシンセサイザーで音が作られます

たぶん扱いがけっこう大変な楽器で、高額だったこともあって最初はなかなか売れなかったようです

日本で1974年に初めて販売された時は180万円(!)くらいしたそう(1974年の大卒初任給は74700円

そしてコンピュトーン社は1981年に倒産(リリコンの特許をヤマハが買い取る)

AKAIのEWI

その後、ヤマハ、AKAI、ローランドなどから似たような電子管楽器が発売されていて、それらを総称して「ウィンド・シンセサイザー」と呼ばれています

ローランドのエアロフォン

見た目も演奏方法も木管楽器的ですが、それらとはちょっと違ってヤマハから2004年に「EZトランペット」というのが短い期間発売されたことがあります

ちょっとおもちゃ的ですが、これもウィンド・シンセサイザーの一種です

ヤマハのEZトランペット

トランペット同様に3つ指を押さえるところがありますが、吹き口に向かって唇をふるわす(バズィング)のではなく、なんと「声」を出して(!)演奏します(歌やんけ

すぐに販売終了になって、今ではなかなか手に入りにくくなってます

EZトランペットの演奏(ちょっと声が聴こえる

コンピュトーン社はなかなか売れないリリコンを、当時大楽器メーカーだったセルマーUSA社の販路に乗せて売ろうとしたこともあったようです

「セルマー」の楽器は今でもメジャーなブランドとして販売されていて日本でも手に入りますが、セルマーというメーカーはちょっとややこしくて長い歴史があります(ベッソン社も同様にややこしい)

元々は19世紀後半にフランスにいた「アンリ・セルメール(Henri Selmer)」と「アレクサンドル・セルメール(Alexandre Selmer)」の兄弟から始まりました

クラリネット奏者だった兄のアンリは1885年にパリで楽器工房を、同じくクラリネット奏者の弟アレクサンドルはアメリカに渡ってボストン交響楽団やニューヨーク・フィルのクラリネット奏者をしながら兄アンリの楽器を売るためのお店をニューヨークに開きます

アレクサンドルの楽器ビジネスはアメリカで成功しますが、彼はパリに戻ってしまいアメリカでのセルマーの経営権を後に売却します

アメリカのセルマー社(セルマーUSA)はフランスの本家セルマー社の楽器も販売しながら、独自の発展をします

フルートで有名なヘインズから職人を雇ってフルートを製作したり、1960年代からはトランペットとトロンボーンで有名なヴィンセント・バック社、打楽器で有名なラディック・ムッサー社、他にもビュッシャー社などをどんどん買収して大きな会社になっていきます

セルマーUSAに身売りする前、ニューヨークのマウント・ヴァーノンで楽器を作っていた「ヴィンセント・バック・コーポレーション」のベル刻印

セルマーUSA社は1995年にピアノで有名なスタインウェイ・アンド・サンズを買収して「スタインウェイ・ミュージカル・インスツルメンツ」という大楽器メーカーになります

さらに2000年にはベンジ、C.G.コーン、ホルトン、キング、マーチン、ルブランなどのメーカーが買収、吸収されてできていた大会社「UMI(ユナイテッド・ミュージカル・インスツルメンツ)」をも買収

世界一の巨大楽器メーカーになって現在に至ります

会社が巨大すぎて訳わからんので、2003年には管楽器部門のような感じで再編された「コーン・セルマー社」という会社になっています

元々のブランド名(バック、C.G.コーン、ホルトン、キングなど)も残して楽器が作られています

バックの楽器は今でも当初の個人(ヴィンセント・バック氏)が作っていた頃の伝統が残ってますが、他のブランドは無個性な感じになってしまったものもあってちょっと残念です

本家フランスの方のセルマーは現在でも続いていて(ヘンリー・セルマー・パリ)、サックスやクラリネットの名高いメーカーとして君臨しています

1940年代から1980年代くらいまでセルマー・パリの部品を使ってアメリカで製作されたサックス(日本では「アメセル」と呼ばれてます)はすごい人気でめちゃ評価が高く、伝説的な楽器として現在の新品楽器よりもはるかに高い値段で取引きされたりもしてます

金管楽器メーカーの「ベッソン」はもっとややこしくて、19世紀中頃から現在までフランス、イギリス、ドイツ、アメリカ、中国などで楽器が作られてますが、文章が長くなりすぎるのでそのお話はまたの機会に

「オーメンズ・オブ・ラブ」から話の脱線がすごい!

リリースからすぐ、翌年の1986年に「ニュー・サウンズ・イン・ブラス」のシリーズで真島俊夫さんが吹奏楽用に編曲したものが、35年以上経った今でもよく演奏されていて、「宝島」ほどではありませんがかなりの人気曲と言えます

楽譜やCDは絶版、廃盤になるものが多いですが、「オーメンズ・オブ・ラブ」の楽譜は現在でもヤマハから出版されていて入手可能な超ロングセラー曲です

同じ真島俊夫さん編曲の「宝島」はアルトサックスのソロが多用されているのに対して、「オーメンズ・オブ・ラブ」は中間のギターソロの部分は木管楽器のsoli(ソリ)として新たに書き直されています

適度な難易度で指やスケール(音階)の練習にもなる、カッコ良くてやりがいのあるフレーズになっている点も人気の要因だと思います

オリジナルの調性はC-dur(C major)ですが、B-dur(B♭ major)に編曲されてるのがちょっとダサく聴こえます
が、C-durだとどの楽器も一気に難易度が上がるので、そこは仕方ありません

練習番号「D」でブラスセクションのバックでパラパラ動く木管楽器の動きは、のだめカンタービレの影響で突然クラシックの人気曲に成り上がったベートーヴェンの交響曲第7番第4楽章後半の引用のように聴こえます(あまり指摘されることがないようなので書いてみた

チャイム(チューブラーベル)をぜひ使って演奏したい「オーメンズ・オブ・ラブ」ですが、そんなおっきな打楽器は用意できなさそうなのでグロッケンでこじんまりとカワイく演奏します

「ニュー・サウンズ・イン・ブラス」は楽譜と音源(レコード→CD)のセットで1972年から毎年、半世紀近く続いていた吹奏楽ポップスのシリーズですが、2020年を最後に制作がストップしています

世界的にも評価の高いシリーズですが、国内外の出版社から吹奏楽のポップス楽譜が多数出るようになってきたのも制作ストップの原因かもしれません

このまま終わってしまうとしたらとても残念です

1980年代くらいまでの編曲はビッグバンド編成の影響が色濃くて、トランペットとトロンボーンは4パート(1st〜4th)、サックスもソプラノ、1stアルト、2ndアルト、1stテナー(!)、2ndテナー(!)、バリトンと、分厚い編成になっている楽譜が多いです

最近はわざわざ小編成ヴァージョンの楽譜を別に作ったりすることもあるほど小編成吹奏楽の楽譜が多いですが、バブリーな時代のゴージャス編成の吹奏楽も大好きです(しもしも〜?

フルスコア(簡易的ではない全パートが書かれているスコア)なのがありがたいですが、なんと「手書き」の音符がそのまま印刷されています(パート譜は手書きではない

楽譜の作成にパソコンが使われるのは1990年代以降なので、コスト削減またはスコア作成の時間がなかったのかもしれません

ニュー・サウンズ・イン・ブラスで「手書きフルスコア」なのは1980年代の数年間で、それ以前はコンデンス・スコア(簡易的なスコアで、ピアノの楽譜みたいな感じ)が採用されていました

↑コンデンス・スコア(指揮者からすると細やかな指示がしにくい)

今でも大変なのに、昔の楽譜製作はとんでもなく膨大な作業量だったことは容易に想像がつきます

他に配布した新曲は、ディズニーのリトル・マーメイドから「パート・オブ・ユア・ワールド」と、クリスマスの定番曲、ルロイ・アンダーソンの「そりすべり」です(真夏だけど冬の曲練習し始めます!

新曲はいつもワクワクドキドキ

合奏でどんな音が出るのか、楽しみです

楽団の見学希望の方、ぜひお気軽にお越しください〜

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