クリスマス時期によく耳にする「そりすべり(Sleigh Ride)」を初めて合奏しました

アメリカの作曲家ルロイ・アンダーソン(1908年〜1975年)は「短くて軽いオーケストラ曲」をたくさん書いた人で、今でも人気があります
クラシック音楽は「退屈で嫌い」と思われることがよくありますが、楽しくて短くてわかりやすいアンダーソンの曲は、ファミリーコンサートなどでもよく演奏されます(こどもにも人気
管楽器が活躍する色彩感豊かな曲ばかりなので、吹奏楽で演奏しても様になる曲が多いです
「そりすべり」はクリスマス曲という訳ではありませんが、全編に渡って「スレイベル」が鳴っていて、冬の雪道→そりに乗ったサンタクロースを連想させます
スレイベル(Sleigh Bells)は木の棒に「小さい鈴」がたくさん付けられている楽器です

鈴は「ジングル」とも言うので、「ジングルベル」って言った方がよりクリスマスのイメージがするかも
元々は馬車に(近づいてることを知らせるために)付けていたものが、楽器として発展したようです

遠くからだんだん鈴のような音が聞こえてきてもうすぐ馬車が来るのがわかる、という昔の風景が想像できます
W.A.モーツァルトのドイツ舞曲 K605の3曲目で使われるのは、5種類のそれぞれ音の高さが違うスレイベル
ド、ミ、ファ、ソ、ラの音が出るように作られた5つのスレイベルを、3人で演奏するようです
他にはグスタフ・マーラーの交響曲第4番の冒頭でも使われます
E.エルガーの「威風堂々第1番」の後半クライマックスでも使われますが、こちらはあまり効果的ではないような(と言うかあまり聴こえない
クリスマスソングで使われることはしょっちゅうあって、今でも冬になるとよく聞く1994年のマライア・キャリー「恋人たちのクリスマス(All I Wan’t For Christmas Is You)」も、バックでずーっとスレイベルの音が聴こえます
このスレイベルという楽器、日本の「神楽鈴(かぐらすず)」に見た目が似てます
巫女さんが神楽舞で使うので「巫女鈴(みこすず)」とも言われていて、能楽、歌舞伎などでも使われます
神楽鈴は鈴が3段に付けられていて、下から7個、5個、3個という風に違う数の鈴が付けられている(「七五三鈴」とも呼ばれるそう)点が、西洋のスレイベルとはちょっと異なります

古来から鈴は魔除け、お祓い、神様を呼ぶときにも使われるので、そりすべりを1曲演奏すれば悪霊退散、気分スッキリ
山登りの時は熊除けにもなるし「スレイベル、一家に1台」(?

「そりすべり」は11月の小本番で演奏しようと思ってますが、練習し始めの今が真夏なのでなんだか季節感はゼロ
でも悪くないと言うか、真夏にシベリウスの音楽とか聴くと涼しい気持ちになるので、それと同じ効果で涼やかな気分に
ルロイ・アンダーソンの曲は「そりすべり」の他にも、楽しくて素敵な曲がたくさんあります
他にもまだまだ魅力的な曲がたくさん
作曲された時期(1950年代前後)はアメリカが最も良かった頃、世界中から憧れられる自由の国を体現していた時代に重なります

幸せな雰囲気に満ちていて、国や地域が伸び盛りなときは同時に文化も花開くことが多い気がします
ファッション、音楽、車など、1950年代前後のアメリカのものの多くは、今でも人々の興味を惹きつけて止みません

日本だと1970年代前後のものが「昭和っぽい」とか言われて人気だったりするのと似てます
さて、お盆休みもなく8/14(日)も防府ウィンドシンフォニーは練習します

真夏はやる気ダウンの方もいらっしゃるとは思いますが、エアコンの効いた快適な部屋で存分に音を出すのは気持ちいいですよ
楽団の見学もお待ちしてます!

