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楽器に使われる金属

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トロンボーンの新メンバーが、銀色のベルの楽器を持って来てました

これは銀メッキ仕上げのベルではなくて、楽器では少し珍しい「スターリングシルバー」という材質を使ったベルです

スターリングシルバーは「銀」が92.5%、「銅」が7.5%でできた金属(合金)です

「純度100%の銀」で楽器を作ることもできますが、銅を少し混ぜることで曲げたりする加工がしやすくなるようです

クラリネット、オーボエ、ピッコロなどはグラナディラという比重が高くて硬い「木」でできたものがほとんどですが、その他の管楽器(と、シンバル)は大抵なにかの金属を使って作られてます

↑タンザニア(アフリカ)に分布する木「グラナディラ」(断面が黒い)

グラナディラは水に沈むほど重くて硬い木ですが、希少で絶滅危惧種になってるそう

楽器に最もよく使われる金属が「真鍮(しんちゅう)」です

真鍮は英語で言うと「Brass(ブラス)」

だいたい「銅」70%、「亜鉛(あえん)」30%くらいで作られた金属(合金)が「真鍮」

五円玉は真鍮でできてます

色が「金(きん=ゴールド)」に似てるので、歴史的に金の代用品としても使われてきた金属です

別名で「黄銅(おうどう)」とも言われていて、英語で言うと「Yellow Brass(イエローブラス)」

銀色(シルバー)の金管楽器はよく見かけますが、ほとんどは真鍮に銀メッキ(Silver Plated)を施したものです

めっき(メッキ)は「塗装」や「コーティング」とは少し違いますが、素材に薄い金属の皮膜を形成させる表面処理のことです

メッキの厚みは10ミクロン以下くらいが標準的なので(1ミクロン=1000分の1mm)たったの0.01mmくらいしかないんですね

見た目では区別できませんが銀メッキの楽器は表面に「銀」、それとは違って材質そのものに「銀」を使った楽器もある、ということです

フルートは材質そのものに「銀」を使った楽器が多いです

高級なフルートで、材質に「金(ゴールド)」を使ったものもあります

「金」にも種類があって、100%の純金は「24金(K24)」(←「K」はカラット(Karat)の頭文字)

「18金(K18)」は「18/24」つまり75%が金で、残りの25%は銀、銅、パラジウム、亜鉛など他の金属が調合されてます

「14金(K14)」は58.5%が純金、「10金(K10)」は42%が純金という割合で、金のフルートと言ってもいろんな「金」が使われるんですね

↑「10金(K10)」のフルート 色も音も24金とちょっと違う

純金(K24)は材質が柔らかすぎて、加工はちょっと難しいようです

18金や14金の方が適度な硬さがあって加工がしやすいのと、それぞれ音色や吹奏感、そしてお値段ももちろん異なります

真鍮に「金メッキ(Gold Plated)」という楽器もあります
「金メッキ」と「ラッカー仕上げ」の楽器は、色が似てるので区別がつきにくいです

真鍮はそのままだとだんだん表面が酸化して色がくすんでくるので、保護と光沢を保つために「ラッカー」というニスのような無色の塗料で仕上げられてることがほとんどです(←コチラはメッキではなくて「塗装」ですね)

真鍮はそのままだと、だんだん色がくすんでくる

そして気になるお値段ですが、ご想像どおり「金(ゴールド)」が断然お高くなっております、奥様

金属は相場があってその時々で値段が変わりますが、2023年12月の金属100gあたりの価格を単純に比較するとだいたい

銅=130円 銀=12000円 金=1000000円

↑1000g(1kg)と書いてるので、1本「一千万円」する金の延べ棒

ひゃ、ひゃくまんえん!(1g=10000円ってことか…)

A5ランク和牛の比じゃないですね(当たり前じゃ

ものすごくざっくり言えば「銀は銅の100倍」「金は銀の100倍(銅の1万倍)」くらい値段が違う、ってことですね

金よりも希少な金属「プラチナ」製のフルートもあります(金とプラチナは、価格面では近い)

他人からは普通の銀のフルートに思われそうな色だけどー

他の金属の100gあたりの価格

亜鉛=40円 ニッケル=240円

「ニッケル」という金属も、楽器の材質によく含まれます

ラッカー仕上げの金管楽器で、「金色の部分」と「銀色の部分」があるのを見かけることがあります

金色の部分は「真鍮」、銀色の部分は「洋白(ようはく)」という材質です

「洋白」は銅と亜鉛とニッケルの合金で、例えば500円玉は銅=72%、亜鉛=20%、ニッケル=8%という割合の「洋白」でできてます

別名で「ニッケルシルバー」と言われることもあって、見た目が「銀」に似てるのでコチラは銀の代用品としても使われてきました

含まれる金属の割合は真鍮に近いのに、ほんの少しニッケルが入るだけで色が銀色になるのが不思議です

洋白は真鍮とは音色もちょっと違いますが、腐食しにくいという特色もあって金管楽器のスライド(動く)部分に使われることがよくあります

スライドの内部がちょっとでも錆びたり腐食すると、動きが悪くなりそうですよね

ちなみに100円玉と50円玉は、銅=75%、ニッケル=25%の「白銅(はくどう)」という材質でできてます

この見た目で、7割以上が「銅」

500円玉と同じかと思いきや、亜鉛が含まれない「白銅」製なんですね

あと「ゴールドブラス(Gold Brass)」という名前も聞いたことがあると思います

銅=80%、亜鉛=20%くらいと、ちょっと銅の割合が多い真鍮が「ゴールドブラス」と言われるもので、イエローブラスに比べると音色が少し柔らかくなります

「音が柔らかい方がいいやん」と思うかもしれませんが、音色の輝かしさではイエローブラスの方が少し勝るし、吹奏感がわずかにキツくなるというデメリットもあります

金管楽器では同じモデルでも「イエローブラスベル」「ゴールドブラスベル」と、その人の好みでベルの材質を選ぶことができる場合があります

ただ仕上げが「銀メッキ」の場合、パッと見はどちらも同じ「銀色」なので見た目は変わりません(刻印や型番などで判別はできます)

バック社のトランペットはベルの番号(37とか)の横に「G」の刻印があるとゴールドブラス製のベル

お値段の比較に続いて、今度は重さの比較
楽器に使われる金属の「比重(g/㎤)」は↓な感じ

アルミ 2.68
亜鉛 7.21
鉄 7.87
ニッケル 8.69
銅 8.82
銀 10.51
金 19.32
プラチナ 20.34

「金、重っ アルミ、軽っ」

なんとなく音色のイメージとも重なる感じ、するかな?

それでは打楽器方面、行ってみましょう

シンバルは銅=80%、錫(すず)=20%くらいの「ブロンズ(青銅)」でできてるものが多いです

錫が含まれると硬くなって強度が出るそうなので、なるほどバシバシ叩かれるシンバルに「ブロンズ(青銅)」が使われるんですね

「オブジェとかの『ブロンズ像』って緑色のイメージだけど?」

青銅って言うくらいだから元々青色か緑色なのかと思ったら、空気や水に触れて表面に「緑青(ろくしょう)」という錆(さび)のようなものができてあの色になるようです

「おいっス」

青銅(ブロンズ)自体は本来光沢のある色で、含まれる金属の割合で白銅色〜赤銅色と幅があるそう

10円玉は、銅=95% 亜鉛=3% 錫=2%という割合の「青銅(ブロンズ)」製(「銅」の割合が多いので赤みを帯びた色

「じゃあ、グロッケンやヴィブラフォンとかの鉄琴は?」

グロッケンの鍵盤は「炭素鋼(たんそこう)」という「鉄」の仲間

「鉄」に「炭素」がわずかに含まれた合金が「炭素鋼」

ヴィブラフォンの鍵盤は「アルミ合金」が主に使われるそうです

↑ヴィブラフォン(ディーガン社製)

金管楽器の場合、金属の材質の違いで聴いてる人が明らかにわかるほどの差はありません

が、吹いてる本人にはまあまあ違いが感じられる、くらいの差異です

楽器表面の「仕上げ(メッキやラッカー)」に関しては、たったの0.01mm以下の割にはけっこう音色が変わるように思えます

言葉では伝わりにくいですが、個人的な感想は(トランペットで)ラッカー仕上げの音は「パリッ」、銀メッキ仕上げの音は「バリっ」、金メッキ仕上げの音は「シトッ、ずーん」、ノーラッカー(真鍮剥き出し)の音は「無味無色」

↑ラッカーもメッキも何もされてないトランペット(お手入れが大変

音色や吹奏感より「見た目」の方がよっぽど違うけどねー

ちなみに1円玉は純アルミニウム(100%アルミニウム)でできてますが、1枚作るのにコストが3円かかるそうです(ウケる

そして五円玉は1枚作るのに10円、10円玉は1枚作るのに13円、コストがかかるんだって

なんやそれ

金属(合金)の割合にもいろいろあっておもしろいですが、さらに楽器でいい音させるために曲げたり叩いたり伸ばしたり、熱を加えたり(焼きなまし)、ゆっくり冷ましたり、急激に冷ましたり…

金属って奥が深くて楽しい

防府市に「多々良(たたら)」って地名がありますが、「たたら」って日本古来の製鉄にゆかりのある地名だそう

あのあたりでお寺の鐘とか作ってたのかも?

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