楽器

ストレートミュート

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トランペットのメンバーから「ミュートを買おうと思うんですけど、どんなのがいいですか?」

と、だいぶ前に聞かれたけど、ちゃんとお返事をしてませんでした(ごめんね)

金管楽器は「ミュートをつける」という指示が、時々楽譜に出てきます

柔らかい音色や弱音に定評ある、トラムコア社の「Lyric Mute(リリック・ミュート)」2つ目のミュートにいかが?
「ファイバー素材」と、底部は「木」でできてます

楽譜に「mute」とか「con sord.」と書かれてたら、それです

「sord.」は「sordino(ソルディーノ)」というイタリア語(の略)で、ミュートのことです

ミュートを外す時の指示は「open」とか「mute off」とか「senza sord.」と楽譜に書かれてます

ミュートという言葉はテレビのリモコンやオーディオ製品で音を消す時にも使うので、一般的な言葉だと思います

音楽とは関係ありませんがSNSで、投稿が多すぎたりウザい人のを非表示にするのにも「ミュート」という機能を使うことがあります

ヴァイオリンやチェロなどの弦楽器も、楽譜にミュートの指示があることがあります

ヴァイオリンのミュート(弱音器)

木管楽器で「ミュート」は出てこないだろう、と思ったらストラヴィンスキーの「ペトルーシュカ」の最後の方でオーボエに「con sord.」の指示があるよう

「布」を楽器に詰めたりするそうで、聴いてみたけどあまり効果的ではない…というかほとんどわからなかった

↑「布」は使いづらいのでホントのオーボエミュート、あるらしい

ユーフォニアムやテューバは、ミュートの指示があることが稀にある(ストラヴィンスキーの「火の鳥」に出てくるテューバのミュートは効果的で好きです)

コンサート中にテューバがミュートを付けるのを見ると、音もですがその動作とデカさに「(おー!ダイナミック〜)」と思ってしまいます

わざと大きく動いて目立つ感じでミュートを付けてるように見える(疑惑)テューバ奏者も、たまにいる

ホルンとトロンボーンは、たまにミュートの指示が

ホルンはミュートとは別に「ゲシュトップ(gestopft)」という、右手でベルの中を塞ぐ奏法があります

ホルンのゲシュトップ奏法

いつ頃から金管楽器の「ミュート」というものが存在するのか?

「ワーグナーか、マーラーの交響曲第1番『巨人』(←1889年初演)くらいかな?」と思って調べてみたらその遥か昔、モンテヴェルディのオペラ「オルフェオ(L’Orfeo←1607年初演。世界初の本格的なオペラ)」でとっくに使われてました(わお)

↑こんなんだったらしい
木でできてて、たぶん中心に穴が空いてると思われる

まだヴァルヴ(ピストンとか)が発明される200年くらい前の時代だし、今のミュートとはだいぶ違う感じですね

C.モンテヴェルディ(1567年〜1643年)のオペラ「オルフェオ」冒頭のトッカータ(ファンファーレ)
この演奏ではトランペットにミュートは使われてない

トランペットはいろんな曲で、けっこう頻繁にミュートの指示が楽譜に出てきます

ジャズ、ポピュラーミュージック、クラシックとジャンルを問わずミュートを使うことは多くて、さらにミュートの種類もたくさんあります

ストレートミュート
カップミュート
ワウワウミュート
プランジャーミュート
バケットミュート

他にも種類はまだまだいろいろ

一番よく使われるのはストレートミュートなので、1つだけミュートを所有するとなったらストレートミュートになります

学校の吹奏楽部には学校の楽器と同じようにミュートが複数置いてあることが多いので、My楽器を持ってる人でもミュートを持ってないことはよくある

なので学校を卒業したタイミングで「ミュート買わなきゃ」と思うことは、よくあります

↑音色も音程も素晴らしかったけどもう新品では手に入らない、昔のLeblanc Vacchiano(ルブラン社ヴァッキャーノ・ミュート)

プロのオーケストラはいろんなミュートを取り揃えてることがありますが、アマチュア吹奏楽団で楽団所有のミュートがある、なんてことはほとんどありません

アルミ製で、底部に違う材質のコパー(銅)やブラス(真鍮)を組み合わせることがよくある

「トランペットのミュートって、いくらくらいするの?」

以前は5000円くらいで買えたイメージでしたが、最近は1万円以上するものがほとんどのようです

高額に感じますがミュートってどれもハンドメイドに近い感じで、海外でも個人や家族経営みたいな会社がほとんどです(実のところ、とても良心的価格です)

楽器を愛する人たちが儲け度外視で作ってることが多いので、メーカーが無くなったりすぐに買えなくなったりします(楽器以上に)

ドイツのESSER社の木製ミュート

ストレートミュートの中にもいろんな種類やいろんなメーカーのものがあります

素材だけでも金属製、木製、プラスティック製、藤(とう)製、ファイバー素材、などなど

左が籐製のミュート
プロのオーケストラでも使われてるの見かけます

金属製のものがよく使われますが、金属と言ってもアルミ、ブラス(真鍮)、コパー(銅)、それらの組み合わせと、選択肢が多い(吹き比べ、聴き比べできる機会もなかなかない)

2010年頃からの新しいメーカー「Soulo Mute(ソウロ・ミュート)社」
球体に近い特徴的な形状で、ストレートミュートとしての評価も高い

「mute(ミュート)」を日本語にすると「弱音器」となりますが、実際には音を弱くするというよりは「音色を変える」目的で使われるのが金管楽器のミュートです

「ミュート(弱音器)」って名称は違和感ある、ってことで「ミュートじゃなくて『サウンドトランスフォーマー』だ!」と独自の名称を謳ってたメーカーもあります

が、「はぁ?(ザコシショウ)」って感じで伝わらないので、今はそのメーカーも結局「ミュート」という呼称に戻してます

そういうのとは別の話で、音を消すのが目的の「練習用ミュート」というのも色々と発売されてます

「で、ミュートでどんな音色に変えるの?」ってことですが、曲の場面やその人の好みなど、こだわりだしたらキリがありません

いかにもミュートを付けてますよ、っていうビリビリした音(『バズ音』って言ったりする)も必要だし、柔らかい音や場面によって音量を抑えたい時もあれば、逆に音量を強く出したい時もあります

レスピーギの「ローマの松」の冒頭1分間なんて、トゥッティの中でも埋もれない「大音量のミュート音(←言葉としては矛盾してる)」が必要

ニューヨーク・フィルハーモニックが演奏する「ローマの松」

アルミ製ミュートはビリビリしたバズ音が出やすいけど、音色が軽くなりがちで音量が出ないこともある

ブラス(真鍮)製ミュートは透明感ある良い音色で音量も出るけど、ミュートらしいビリビリ感が少ない

オールブラス(全部が真鍮製)のミュート

コパー(銅)製ミュートは柔らかく深みのある独特で魅力的な響きだけど、音色の輝かしさの面では希薄になることも

オールコパー(全部が銅製)のミュート

といった特徴に加えて、金属素材の厚みや形状、作りによってもさらに色々とバランスが変わってくる

あと「音程が変わってしまう」ということがかなり重要な要素になってきます

ストレートミュートをつけると通常かなり音程が高くなってしまうので、装着前後に時間的な余裕がある時はチューニングスライドを抜き差しするほどです

↑チューニングスライド、けっこー抜いてる

が、研究開発が進んだ最近のミュートでは音程がほとんど高くならなかったり、音程バランスが崩れにくいミュートも出てきました(朗報)

トランペットの楽器本体やマウスピースで「おすすめは?」という質問に答えるのはなかなか難しいのですが、ミュートのおすすめを答えるのもケッコー難しい

「ミュートを1つだけ所有する」場合に、ダントツでおすすめできるミュートは正直ありませんが、2026年時点で入手しやすさなどを踏まえると、

「トム・クラウン社の『ジェミニ』のブラスエンド(真鍮底)タイプ」←11000円くらい

か、

「トラムコア(TrumCor)社のブラスエンド(真鍮底)タイプ」←18000円くらい

あたりかな?と思います

トムクラウン社「ジェミニ」
のアルミ製で、底部分はブラス(真鍮)製のヤツ

トムクラウン社は1960年代からあるミュートではメジャーなアメリカの老舗メーカーで、見かけること多いと思います(防府ウィンドシンフォニーでも使ってるメンバーいます)

芯のある良い音色で音量も得られるので(オールアルミ製のタイプでも、厚みがある為か貧弱じゃない音)吹奏楽で使うのにも向いてるミュートですが、音程がかなり上ずるのが欠点でした(デニスウィック社のミュートも音程がかなり上がる)

トムクラウン社の、左が新しいシリーズの「ジェミニ」(←ちょっと大きい)、右が従来のクラシックモデル

そのトムクラウン社が2011年頃に新しく発売した「GEMINI(ジェミニ)」というシリーズが、音程もあまり変化せず音色などの点でも評価が高いです

従来のものと比べると大きめのミュートで、見た目(外観)はあまり洗練されてない

あと、底部の赤いメーカーロゴ(シール?)がちょっと目立つのが気になる…

まぁミュートの見た目なんて、気にしない人の方が多いですが

TrumCor(トラムコア)というアメリカの割と新しめのメーカーは、プロオーケストラでも使われてるのを最近よく見かけるミュートで評価が高いです

丁寧な作りで高級感ある、トラムコア(TrumCor)社のミュート

手にすると高級感があって(なのに軽い)お値段もお高めですが、音色、音程ともに素晴らしいです

コルクが細長くて高さがある形状なので、楽器にグイっと雑に装着するとコルクが破れがちなのが難点(丁寧に使えば大丈夫)

底部にさりげなく刻印されたロゴデザインも素敵

ストレートミュートは2025年秋に少し仕様変更されて、サテン(艶消し)仕上げになったよう(改悪になってなければいいけど)

表面がサテン(艶消し)仕上げになった(音色も変わりそう)

「ミュートを1つだけ所有する」となると、どちらのメーカーもアルミと底部がブラス(真鍮)の組み合わせが、音色や音量の面でも多くの場面に対応できる(万能)かな?と思いました

音階じゃなくて曲のフレーズ吹いてよ

TrumCor(トラムコア)の方は日本への入荷が少なさそうなので、在庫が切れてると入手に時間がかかるかもしれません

どんなミュートでも「コルクの厚み」によって音色、吹奏感ともにまったく変わってしまうことが多いので、自分の楽器のベルとの相性が合うようコルクを削ったり調整することが大事です

コルクにラバー(ゴム)が練り込んでるものもある
楽器から外れにくくて便利だけど、音色がちょっと変わる

ホントは実物を吹き比べたり聴き比べたりするのがベストですが、YouTubeでのミュート比較動画とかが意外と参考になったりもします

「進化してる度合い」では楽器よりも顕著な最近のミュート

ニューモデルを試したり、吹き比べしたりするのも楽しいですよ

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