中古の楽器が、楽器店以外でもネット通販などで簡単に手に入るようになりました
管楽器でやる人が多いフルート、サックス、トランペットなんて、ちょっと調べると山ほど売られてます(憧れて、始めてはみたけど挫折して手放す人が多いんでしょう
「楽器を通販で買うなんて、ありえない!」という意見はごもっともですが、楽器店でじっくり選んだとて必ずしも良い楽器やその人に合った楽器に巡り合えるとは言えない部分もあります(もちろん可能な限り目で見て、さわって、吹いて選びましょうね
個人的には中古の楽器にまったく抵抗などなくて「安くていいやん」と思いますが、それは楽器の良し悪しを自分で判別できるようになって価格の相場などもわかってきて、さらに自分でお手入れやある程度の不具合の修正ができるようになってきたからだとも言えます
学生の頃はどうやって楽器を選んだらいいかあまりわからなかったし、中古楽器を買うという選択肢も持っていませんでした
世の中「中古楽器なんて、絶対にイヤ」という人も結構います
モノにもよるとは思いますが、知り合いで「中古は絶対イヤ」という人に聞くと、楽器も本も服も車も家も、何もかも一度人の手に渡ったものはイヤだということでした(古本や古着もありえないんだそう
「なんでも『まっさら』のものを使いたい」という、気持ちの問題の方が多いように感じました
その方が気持ちが良い、ということなので少しお金がかかったとしてもそういう生き方はもちろんアリだと思います
多くの人は
「中古楽器って、安いのはいいけど不具合出たり、壊れたり、前の人のクセとかついてそう」
という理由で敬遠したくなるんだと思います
実際、そういうことはあります
電化製品などに比べると、楽器は日々のメンテナンスがかなり重要になります
買ったら後はそのまんま、という使い方をしてるとすぐに傷んだり不具合が出てきます
極端な話、新品で買ったけど数ヶ月間あまりお手入れしてない楽器と、何十年も前の楽器だけど毎日ちゃんとお手入れしてる楽器だと、後者の方が状態が良いことが多いです
新品楽器だって、買って数週間もすれば立派な中古楽器ということです
「お手入れ、めんどくさい〜」
誰でもそう思いますが、ごく簡単なお手入れだけでもするのとしないのでは数年後に大きく差が出てきます
基本的に
「練習後に水分を除去して、手や口が当たった所を柔らかい布で拭き取る」←コレだけです(コレが重要
手の汗や唾液は、思った以上に素材への侵食作用が強いんです
以前楽器店に行ったらテューバの後輩が偶然来てて、店員さんに「テューバに穴が空いたからなんとかして」と相談してました(金管楽器、拭いてないとマヂで穴空きます)
音楽大学を卒業してる人でも、楽器のお手入れがちゃんとできてない人たくさんいます
お手入れ自体は簡単なことですが、世間の楽器奏者さんでやってない人はかなり多いです(最低でも5分くらいは毎日お手入れしてね
吹奏楽部の中高生なんて、とにかく時間ギリギリまで練習して「すぐ片付けて、早歩きで帰れー!」みたいな毎日で、楽器のお手入れはかなりおろそかになってることがほとんどです
実際どこの学校に行っても、悲惨な状態の楽器があふれかえってます
日々の地道なお手入れ、月に一回くらいのちょっと大掛かりなお手入れ(洗浄)、(木管楽器は)年に一回くらいの調整、はぜひやってほしいです
オープン価格(値段が流動的)の電化製品と違って、管楽器は「定価」というのが今でも割とハッキリ設定されています
メーカーや輸入元のカタログや価格表を見れば定価をチェックできます
で、今も昔も楽器店ではだいたい定価の「2割引」くらいの値段で新品楽器は売られてることが多いです
なので価格表の定価の80%で計算すれば、だいたいの販売価格が誰にでもわかるようになってます
「中古楽器って、どれくらい安かったらお買い得なんだろう?」と、みんな思います
これはその楽器の「状態」によるところがかなり大きいです
状態が悪ければ、その楽器の価値はかなり下がります
状態が良い場合、目安として新品価格の60%くらい、で設定されてるものが多いです
なのでそれより安ければお買い得、人気のある機種で状態がVery Goodだとそれより高い値段がついてたり、いろいろです
例えば新品定価が38万円のトランペットなら、実際に楽器店ではその80%程度、30万円くらいで販売されてます
で、その楽器が中古で出てたとして、30万円の60%、18万円くらいが相場(状態が良ければ)となります
「12万円も安くなる!」と思うか、「12万円の差ならがんばって新品買った方がいい」と思うかは、自由です
新品楽器は楽器ケースやマウスピースやオイルなどお手入れ道具や、場合によってはチューナーとかオマケで付けてくれることが多いので、その点も加味して考えると良いかもです(オマケと言うより、それら込みの値段設定ですけどね
中古楽器には上記のものが「一切」付いてない場合も多いです
すでに楽器を持ってる人とかだと、ケースは好きなの使うしマウスピースやオイルなんか要らないからその分安くして〜、ということが多いです
あとは「状態の良し悪し」を見極める眼力、みたいなのが重要になりますが、こればっかりはその楽器の経験が豊富じゃないとなかなかわからないと思います
パッと見の外観も大事ですし、楽器の内部の見えづらい箇所ももちろん重要です
実物を目で見て、さわって、演奏してみるのが理想ですが、そうもいかない場合も多いです
そもそもネット通販だとせいぜい数枚の画像で確かめるだけだし、実物をさわれる場合でも買うかどうかわからない楽器をお店で時間をかけて見たりさわったり吹いたりするのは勇気が要ります
試奏できたとしても楽器店の狭い室内で、いつもと違う環境、そして高額の買い物をするかもという高揚感(緊張感)で、冷静な判断はなかなかできないものです
楽器店の人は当然「買っていただける」ように話したり説明するので(商売ですから)、できればその楽器に詳しくて信頼できる第三者に一緒に来て見てもらえたらベストです
中古楽器の前使用者のクセのようなものは、気にならないこともあれば、あからさまに付いてることもあります
上手な人が丁寧に使っていた中古楽器は「当たり」と言えるかも
金管楽器の場合、前の人の指の押さえ方が偏っていて、ピストンが偏磨耗しているようなケースもありえます
楽器は使ってる人の音になってくるし、その人色に染まってくるという不思議な一面もあります
新品でも中古でも、最初吹きにくかったのがだんだんいい感じになってくる、こともあればずーっとイマイチな楽器もあります(←その辺は上手な人でもわかりづらい
そういうリスクも込みでの中古楽器ではありますが、「当たり」の楽器を相場よりもかなり安く買えたとしたらおめでとうと言ってあげたくなります
新品でも中古でも経験豊富な人でも、ギャンブル的要素が大なり小なりあるのが楽器選びと言えます
ちなみに誰かが購入後、ほとんど使わないまま手放した「新古品」みたいな楽器もけっこうあります
新品楽器だって楽器店で試奏とかされてるので、本当の意味での「まっさら」な楽器なんてないですけど
そんな「ほぼ新品」みたいな中古楽器は、あからさまな不具合とかがないかチェックして、値段が安ければめちゃお買い得なこともあります(あからさまに「ハズレ」だったから手放したという場合もあるので、そこは注意
海外の楽器より日本の楽器の方が当たりハズレが少ない、個体差が少ない、という話はある程度ホントかもしれませんが、ヤマハの高級な方の楽器でも個体差は確実にあります
あと、楽器店で「選定品」といってプロ奏者が選んだ楽器が少し高い値付けをされて販売されてることがあります
この「選定品」にもいろんなケースがあって、メーカーや輸入元の倉庫にある数十本の在庫の中から選んだ場合もあれば、楽器店に頼まれて2〜3本の中から(すごく良いのがなくても)選んだような場合もあります
「すごく良い楽器は1本もなかったですよ」とはプロ奏者も付き合いのある楽器店に言えなくて、渋々「選定品」になってしまった楽器もありえますので、100%信用せず自分で納得できる楽器を時間と手間をかけて探した方がいいと思います
楽器は電化製品と違って「最新のものが良い」とは言い切れない部分もあります
数十年前のヴィンテージ楽器が、ものすごく高い値段で売られてることがありますが、今の楽器よりも本当に良い、ということもあれば骨董価値みたいに値段だけ高くてイマイチな楽器もあります
古くて良い管楽器もありますが、よっぽど詳しくなければヴィンテージ楽器は選択肢に入れなくていいと思います
イタリアの弦楽器製作者アントニオ・ストラディヴァリが17〜18世紀に作った600挺くらい現存するヴァイオリンやチェロ「ストラディヴァリウス」はそれぞれ何億円とかの価値がついてますが、管楽器にはそんな目ん玉飛び出すような高額なものは存在しませんのでご安心を
楽器との巡り合わせは運命みたいなところがあって、人との出会いに似てるっていう話もよく聞きます
良い楽器は、良い人のところに行こうとする?
信じるか信じないかは、あなた次第です!