4月に入って2022年度になりました
防府市の桜はちょうど満開

向島の山の斜面に、ところどころ山桜が咲いてます(けっこう多くない?
のどかですな〜

ピーーーーーッ!!
はいはい、平和ボケしてないで練習練習
さーせーん
月末には本番が控えてますよー

中学の吹奏楽部で楽器を始めた時、部活ではB(ベー)とかEs(エス)とかいうドイツ音名をみんな使ってました
中1で音楽の右も左もわからない状態でしたが、とりあえず「そーゆー言葉を使うんや」と思って、なんとなく覚えてなんとなく使ってました
なんでドイツ音名なんか使うのか?
とか、他にも楽典(音楽のルールとか知識)をちゃんと理解したのは、だいぶ後になってでした

今でも中高生の吹奏楽部員でどうしてドイツ音名を使うのかとか、深くはわかってなくてもなんとなく使ってる人がほとんどだと思います(ドイツ音名なんて、あんまり使わない学校も多いかも
どうして吹奏楽ではドイツ音名を使うのか?
その答えは
便利だから
です

吹奏楽で使う管楽器は、B管(ベー管)、Es管(エス管)、F管(エフ管)と移調楽器がほとんどなのは、楽器をやってる人なら知ってると思います
C管(ツェー管、楽譜に「ドの音」が「ドの音」で書かれてる)の楽器は、フルートやオーボエなどほんの少しだけです

そんな楽器たち同士が一緒に合奏するので、「ある音」を言い表したい時に誤解や間違いが起こりやすくなります
例えば「実音のレのフラット」の音を、いろんな人が同時に演奏しているとします
その音程が合ってない時に、
「その音、合ってないねー。フルートのレのフラット、あ、クラリネットのミのフラット、えー、ホルンのラのフラット、あーー、アルトサックスのシのフラット…」

指摘する方も演奏する方も、なんだかややこしくてわかりづらいです
そしてその都度言うのに時間がかかるし、言い間違えもしそうです
つまり「めんどくさい」のです

なので吹奏楽だけに限らず、日本のクラシック音楽の世界では、実音で言い表す場合に「便宜上」ドイツ音名を使うという慣習があります(ドイツ音名で言うのが一番「簡潔で合理的」なので)
さっきの「実音のレのフラット」の音程が合ってない場合
「Des(デス)の音、合ってないねー」
と言えば、どの楽器の人にも一発で伝わるのです

アメリカやイギリス、カナダ、オーストラリアなどの英語圏ではどうでしょう?
レのフラットの音のことを
「D flat(D ♭ ディーフラット)」
と言い表します
それがドイツ語だと
「Des(デス)」
英語よりもさらに短くて、簡潔ですよね

Key(調性)を表す時は、さらに簡潔になります
レのフラットから始まる長音階のKeyは、英語だと
「D flat major(ディーフラットメイジャー)」
ドイツ語だと
「Des-dur(デスドゥア)」

他にもドイツ語では『短調を表す場合には小文字で始める』点でも、英語よりも間違いにくく合理的になってます
例えば実音のファのシャープから始まる短音階の場合、英語では
「F sharp minor(エフシャープマイナー)」
それがドイツ語だと
「fis-moll(フィスモール)」
簡潔な上に、「Fis」じゃなくて「fis」と小文字で始めるので、見間違えたりすることがさらに少なくなるのです

明治時代に日本に西洋音楽が入ってきた時に、例えばfis-mollのことを「嬰ヘ短調」と表したりしたのは、現在でも名残として使われてます
でも「ドレミファソ」のことを「ハニホヘト」と言うのは使いづらく、結局日本の音楽界はドイツ語、英語、イタリア語、日本語がごちゃ混ぜで使われて現在に至ります
ちなみに日本のポピュラーミュージックの世界ではドイツ音名はあまり使われず、英語の方が多用されます
「fis-moll」なんて使わなくて「F sharp minor(エフシャープマイナー)」の方を使うのです
これはポピュラーミュージックのほとんどが英語圏(特にアメリカ)由来の音楽ということが、その理由です

「ふむふむ、だいたいわかった」
と思っていただけるとうれしいです
ちなみに吹奏楽ではアメリカやイギリスで出版された輸入譜を使うことがよくありますが、それにはドイツ語ではなくやはり英語が多く使われています
それが、よく日本人に混乱をもたらしています

よく「理解されてないなー」と思うのが、
「B(ベー)」と「B(ビー)」と「H(ハー)」と「B♭(ビーフラット)」
の違いです
(その4つの違いを400字以内で簡潔にまとめよ、と言いたくなります)

実音の「シ」の音は、
ドイツ語では「H(ハー)」、英語では「B(ビー)」
実音の「シのフラット」の音は、
ドイツ語では「B(ベー)」、英語では「B♭(ビーフラット)」
となります

ドイツ語と英語、この「シ」と「シのフラット」あたりだけアルファベットが例外的に異なるのですが、管楽器って「B管(べーかん)」が一番多かったりするわけで…
『?????』(挫折しないで〜)
つまり「B」と書かれている場合、それがドイツ語なのか英語なのかで半音違う音になるのです

吹奏楽では「B(ベー)」という言葉をしょっちゅう使ってるのに、楽譜には「B♭(ビーフラット)」と書かれていることが多いので、なんだか混乱してしまうのです
完璧に理解している人、何パーセントくらいでしょうか?
「H(ハー)」という例外さえ覚えてしまえば、あとはフラットの音には「〜es」、シャープの音には「〜is」を付ける、
という法則で、ドイツ音名がほぼ理解できて使えると思います

ちょっと話はズレますが他に難解なことがあって、トロンボーン、ユーフォニアム、テューバのほとんどは、
「B管(ベーかん)の移調楽器だけど、楽譜はin C(実音表記)のヘ音記号」
ってヤツです
わかってしまえばどうってことはないのですが、理解しないまま長年それらの中低音金管楽器を続けている大人も結構います

B管だと説明しても
「なに言ってるんですか〜、ユーフォはC管ですよ〜」
と言い張る、まあまあベテランのユーフォ奏者に会ったことがあります
理解できてなくても楽器や演奏はできる、ってことですね

イギリスで出版されてる楽譜には、トロンボーンやユーフォの「Treble Clef in B flat(ト音記号のin B)」の楽譜が「Bass Clef in C(ヘ音記号の実音表記)」の楽譜と混在して入ってることがよくあって、さらに出版社によってはプラス「ト音記号のin C」と3種類の楽譜が入ってて、もうわけワカメと思われてそうです
小中学校の部活とかに教えに行くと、トロンボーン、ユーフォ、テューバの生徒が、
「B(ベー)」のことを「ド」と言う学校と「シのフラット(またはベー)」と言う学校に分かれるので、最初に聞くようにしてます

そんな感じで音楽をやってる大人でもちゃんと理解するのはなかなか難しいことを、中高生は半分くらい理解しつつ(なんとなく)演奏してることがわかっていただけた?かと思います
ただの「音の呼び方」だけでこんなにも奥が深いので、音楽全体は「沼」みたいなもんです
一度に理解しようとせずに、楽しみながら少しずつの方が良いと思います

めちゃめちゃピアノが上手い友達で、弾いてる曲の作曲者がどこの国の人かとかなんにもわかってないのに素晴らしい演奏をする人がいました
知識とか理解できてなくても、音楽はじゅうぶん楽しめますし、人を感動させることができます
